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 2018年は、労働者保護の根幹・八時間労働制を破壊する高度プロフェッショナル制度創設を含む「働き方改革」関連一括法、外国人労働者の劣悪な労働環境を温存・拡大する出入国管理法(改正)、水道民営化を促進する水道法(改正)などが相次いで強行成立された。いずれの法案も、政府側の説明はデータ改竄・隠蔽に溢れ、立法事実を根底から覆すものとなった。さらに政府の答弁は、野党側の追及には「ご飯論法」で争点隠しを行い、時間稼ぎをするという不誠実きわまりないものだった。
 こうした事態を許してしまったのは、ひとつには、いびつな小選挙区制度の下、野党の分裂状態をかいくぐり、与党が少ない得票にもかかわらず圧倒的な議席を占めることができていることがある。しかしそれだけではない。でたらめな国会運営、政権運営を続けていれば、大きなしっぺ返しを食らうという恐怖心を、為政者達に抱かせるだけの大衆運動、職場労働運動を作りきれなかったことも、これは私たちの側の課題として刻まなければならない。私たちの暮らす社会のありようを決める政治を、国会の中だけで決めさせてはならない。
 今回、様々な悪法が成立してしまったが、私たちは決して負けたわけではない。これからは、新年度以降の法施行を見据えて、法律の中身をさらに厳しく問い、発動させない取り組みが必要だ。職場での労働時間管理を徹底させる日々の取り組みの強化と、高プロ制度を職場に持ち込ませない闘い、外国人労働者の置かれている現実をいっそう明らかにして、労働環境を改善し基本的な権利を獲得する闘い、水道運営権の民間譲渡をさせず公共サービスを守るそれぞれの自治体、地域での闘いなど、その主戦場は職場・地域となる。
 そして今年最大の焦点は、言うまでもないことだが、安倍政権が悲願とする改憲発議となる。秋の臨時国会での発議は食い止めたが、彼らのもくろみをくじいたわけではない。
 全労協は伝統的に選挙闘争とは疎遠だが、四月の統一地方選挙、七月の参議院選挙で、安倍政権の勢力を削ぎ、立憲野党の勝利に向けて、ありったけの力を注ぐことが必要だ。そして何よりも、労働組合は労働組合らしく、職場の中から改憲阻止の取り組みを進めていこう。
 19春闘を目前に控え、経営者側は賃上げ数値目標不要論、春闘不要論を言いつのっている。労働組合の中にもこれに呼応する動きがあり、実際に民間大手の賃上目標は一段と見えにくくなっている。アリバイ的に大幅賃上げをただ唱えれば良いというものではないが、とりあえず取れそうな水準に目標を下げるというのもあまりにも萎縮した姿だ。大手の相場が中小に波及するという構造がある以上、賃金決定の社会的影響力を積極的に自覚し、「賃金は本来こうあるべきだ」という旗印を掲げることが労働組合の使命だろう。
 私たちが直面する現実を見れば、労働分配率が毎年低下し、実質賃金の低下で労働者の暮らしは一向に良くならず、特に中小、非正規の実態は深刻だ。貧困層は拡大し固定化している。こうした実態を出発点にして、私たちは、最低賃金をどこでも誰でも1500円という形にして旗印に表してきた。
 大手と中小、民間と官公労、正規と非正規が相互に影響を及ぼし合い、力を増幅していく仕掛けが春闘のはずだ。春闘の歴史的使命は、決して終わっていない。
 私たちの力を結集し、さらに団結の輪を拡げ、全労協運動・けんり春闘の前進を共に勝ち取ろう!

 全国労働組合連絡協議会議長  渡邉 洋